お見合い結婚11話

「俺がいつも買ってんのは、ワルパって店。本当は色々回りたいんだけど、時間がなくて。休憩中に通える店って限られるよね」
「あ、うん、そうだね。ははは」
(ワ、ワル……?なんだそりゃ)
本当はそんなもの全くと言って興味がない。それどころか夏彦の住まいは誠一郎とは比にならないボロ家である。毎日のぐうたらな生活で服や食器は出したら出しっぱなし、おしゃれとはほとほと縁のない生活を送っている。
(ど、どうしよう。話にさっぱり付いていけん。)
さっさと「いやあ、俺の家、実は超汚いうえにダサくってさ。ちょっとは見習わないとな~はははは」とか、軽くカミングアウトしちゃえば良かったのだが、せっかく捕まえた恋人くんに愛想をつかされたらと思うと不安で、結局しったかぶってしまった。
「こういう柄の壁紙も良いよなあ。俺もそろそろ変えたいって思ってた所なんだ」
(ああ、何言ってんだよ……、俺ってばもう)
愛想のいい笑顔を顔に張り付け、心にもないことをペラペラと喋る自分に、夏彦は内心青ざめていた。
「そうなんだ! じゃあ今度一緒に見ようよ。次の週末はどう? 夕方からバイトだから、それまで買い物しよう」
「あ、う、うん、そう、しようかな」
(や、やばいぞ、これは本気でやばい)